『死霊館のシスター』は、2018年に公開されたホラー映画。「アナベル 死霊館」シリーズに登場する尼僧ヴァラクを主要ヴィランとして登場させており、よりダークな印象を持ち合わせているのが魅力です。
そんな『死霊館のシスター』は時系列で見ても、シリーズ史上もっとも古いのがポイント。暗黒時代にも触れているため、数百年も前の出来事についても言及されています。
そして『死霊館のシスター』は人気が出たせいか、すでに続編の製作が正式発表済。今回はそんな『死霊館のシスター』について、ネタバレから疑問点の解説まで幅広くご紹介。
目次
映画『死霊館のシスター』の概要
タイトル:死霊館のシスター(原題:The Nun)
監督:コリン・ハーディ
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
上映時間:96分
公開日:2019年9月21日(全米2019年9月7日)
キャスト:タイッサ・ファーミガ、デミアン・ビチル、ジョナ・ブロケ
映画『死霊館のシスター』の登場キャラクター
修道女のアイリーン
バーク神父
モーリス・テリオー(フレンチー)
ヴァラク(悪魔)
修道女のヴィクトリア
修道女のオアナ
グレゴロ
修道女のクリスチャン
マークィス
エド・ウォーレン&ロレイン・ウォーレン
映画『死霊館のシスター』1分でわかる簡潔ネタバレ結末
暗黒時代、ルーマニアの修道院で公爵が悪魔ヴァラクを召喚。しかしすぐに封印。それから数百年後、ヴァラクが復活して修道院で猛威を振るいつつ外に出ようとします。
1952年、バーク神父と修道女アイリーンが修道院で起きた事件の調査を開始。結果ヴァラクの存在を知り、封印するために色々と試行錯誤を始めました。
ヴァラクを封じ込めようとしている間に見た修道院の修道女たちは、すべて幻覚だったと判明。みんな死んでいました。アイリーンはヴァラクの弱点であるキリストの血が入った瓶を見つけ、最終的に地獄に送り返します。
エンディングでは、ロレイン&エド・ウォーレン夫妻が悪魔に憑りつかれている男性を扱う映像が流れます。憑依されていた男性は、アイリーンと共にヴァラクと戦った人物でした。結局ヴァラクは修道院から脱走したことがわかります。
映画『死霊館のシスター』ネタバレあらすじをラスト結末まで詳しく紹介
心霊研究家であり数々の幽霊にまつわる事件に関わってきたロレイン・ウォーレンが、アミティビルのとある事件で予知夢を見ます。
その予知夢に映っていたのは修道女の格好をした女性だったものの、顔は暗く目はギラついています。それもそのはず、その正体は人間ではなく悪魔で、ヴァラクと呼ばれる者の姿でした。
時代はさかのぼり1952年。場所はルーマニアの聖カルタ修道院。
2人の修道女が十字架がたくさん設置されている通路を怯えた顔で進行。いっぽうの年長シスターが覚悟を決めて「神はここで死す」と英語で書かれた扉を開き、暗い部屋に侵入します。
すぐに血まみれになったシスターが戻ってきて、いっぽうのシスターであるヴィクトリアに鍵を渡したものの、見えない力によって引きづりこまれました。
シスターは「次に狙われるのはあなた」と言い残しており、残された若いシスターは必死に逃亡。しかし見えない何かは後ろから着いてきていて、首にロープを巻いて首吊り自殺を決心します。
若いシスターが飛び降りたあと、近くの十字架が逆さに変わっていました。
バチカン
後日、数ヶ月ごとに聖カルタ修道院に物資を運んでいたモーリス・ティロー(映画ではフレンチーという愛称)が現場を発見。そこには腐敗した修道女ヴィクトリアの遺体がロープに吊られており、慌てて報告しました。
報告を受けたバチカンの司教は、あってはならない修道女の自殺と聞いて事態が重いと判断。アンソニー・バーク神父を呼び出し、聖カルタ修道院の調査を依頼します。また土地勘がない神父のため、助手がつけられました。
イギリスロンドンの聖ビンセント病院。
尼僧見習いのシスター・アイリーンが子供たちと戯れていたところ、バーク神父が訪問。バチカンからの命令によりアイリーンはバーク神父の助手として付きそうことになったものの、シスターに心当たりはない模様。それでも何か考えがあるはずという話になり、2人は第一発見者フレンチーがいるルーマニアのビエルタン村を訪ねます。
村
ルーマニアのビエルタン村。
バーク神父とアイリーンはフレンチーという若い男性の部屋を訪ね、修道院まで案内を頼みます。フレンチー自身も悪夢に悩んでいたものの、依頼を承諾。途中まで馬車で移動し、修道院まで歩きました。
そこで見たのは、入り口の階段で半乾きになった血。またフレンチーは遺体を移動していたため保管場所に2人を案内しますが、「寝かせておいたはずの遺体が座っている状態に」変わっています。3人はその遺体を墓地のような場所で埋葬。墓石には鈴が置いてあり、生き返った場合に鈴を鳴らすことで生存をアピールするのだという雑談もしました。
埋葬が終わると、3人は修道院のなかへ侵入。進んだ先には顔の見えない老女の修道長がいます。修道長に調査の手伝いを求めると、なにやら都合が悪い様子。その日は修道院のみんなで徹夜の礼拝をする日と定められていたため、来客用の部屋に宿泊のうえ後日協力という話になりました。
アイリーンとバーク神父は宿泊、フレンチーは帰宅して後日迎えに来ることになったものの、帰り際に恐ろしい幻覚を見ます。
バーク神父の過去
宿泊中の同室でアイリーンとバーク神父が会話。バーク神父はもともと教会に関係する悪魔や怪奇現象などを扱う仕事をしていたと言います。またバーク神父には、心残りの事案がありました。
それは、とある少年が悪魔に憑依されたときのこと。ダニエルという名前の少年が悪魔に憑依されたため、バーク神父は悪魔祓いを実施します。
しかし儀式の最中にダニエルが深い傷を負い、後日亡くなってしまったようです。
話のあと、バーク神父はダニエルの幻覚を見て追跡。墓地のような場所にたどり着くと幽霊によってハメられ、棺に入れられたうえに生きたまま埋葬されました。
いっぽうアイリーンは寝ていたものの目を覚まし、墓地のほうから鈴の音が聞こえたため現場に急行。アイリーンの前で一斉に鈴がなり始めたためバーク神父の棺を発見しにくかったものの、透視のような形で発見します。
バーク神父はなかで悪魔に襲われていましたが、間一髪のところで救出。そこには1冊の本も一緒に埋められていたため、本で何かわかるかもしれないという話がされました。
明かされる修道院の歴史
礼拝堂のような場所で祈りを捧げている修道女ルースに話しかけたアイリーン。そこにシスター・オアナが現れて、「祈りをしている間は途切れさせちゃダメだから話しかけちゃダメ」と言われます。
それからアイリーンはオアナに連れられ、場所を移動。修道院にまつわる歴史を伝えられました。
聖カルタ修道院が建設されたのは遥か昔、暗黒時代の頃。カルタ公爵が建設したこの修道院では、公爵が悪魔を呼び出そうと何度も魔術・儀式を行います。その結果、カルタ公爵はこの世と悪魔界を繋ぐサークル状の扉を開くことに成功。
その直後に教会の騎士が現れて占拠され、キリストの血を使用することで悪魔の封印と扉の施錠が行われました。そのときから教会は修道院を管理すると共に、悪魔を再び出さないように礼拝が行われはじめます。
それが近年、戦争によって受けた被害により悪魔が開放。ヴァラクが現れて修道院や周辺を襲い始めたとのことでした。
なお、シスター・オアナは悪魔がヴァラクということは知らず、修道女姿という認識のみ。それからオアナは礼拝の順番が来たためアイリーンを客室に戻してその場から去ります。アイリーンは自殺した修道女のカギの件を聞いたものの、答えはわかりませんでした。
不可解な死
修道院で恐ろしいことが起こっている間、フレンチーの住む村の居酒屋ブラック・ベアでも異変が起きます。
どうやら村の娘が自殺しているほか、不自然な死が連続して起こっている様子。さらに酒場では、「修道院に行ったアイリーンと神父もどうせ死ぬ」と言われます。
黙っていられなかったフレンチーは、長銃を手に取って修道院に引き返し始めました。
修道院の真実
客室に待機していたアイリーンは、幻覚を目にしてから「神はここで死す」と書かれた扉のある通路に移動。そこで修道女の姿をした悪魔ヴァラクに襲われながらも逃げ、礼拝堂のような場所に行きます。
そこでは必死に祈りを捧げるシスターと、横ですでに亡くなっているシスターがいました。ほかにもシスターが集まり始め、アイリーン含むみんなで祈りを開始。
直後アイリーン以外のシスターは見えない力で吹き飛ばされ、アイリーンだけで祈ります。アイリーンの左肩が切られたような形で五芒星が出現したころ、バーク神父とフレンチーが合流。
襲われながらもフレンチーは長銃で霊を吹き飛ばして混乱を収めます。それから落ち着いて回りを見ると、シスターの姿は皆無。さらに遺体を確認しても、ミイラ化しているだけです。
どうやら悪魔の能力により、アイリーンをメインとしてその場にいた全員が幻覚を見ているだけのようでした。
ヴァラクとの戦い
悪魔ヴァラクは人間に憑依することで修道院を出ようとしていると知った3人。そこでアイリーンは、本格的にヴァラクを封印するべく立ち上がります。まずアイリーンは見習い修道女だったため、バーク神父の代行のもと終生誓願を実施。晴れて未来永劫の修道女になりました。
3人は悪魔の扉がある場所に移動。その場所を開くためにはカギが必要で、自殺した修道女が持っていたものと一致したため入れました。
アイリーンはそこに入りますが、バーク神父はヘビのような舌を持つダニエルや黒い修道女に襲われて立ち往生。その間にアイリーンは床の五芒星におびき寄せられます。
フレンチーが来たころには、顔に布をかぶせた修道女が大量に存在。そこでフレンチーはアイリーンを見つけ出そうとしたものの、失敗しました。
いっぽうアイリーンは水辺に飛ばされていて、キリストの血がプカプカ浮いているのを目撃。ヴァラクはアイリーンに憑依する直前でしたが、アイリーンはキリストの血を口に含んで吹きかけます。結果ヴァラクは苦しみ始め、悪魔の扉が閉まって消えました。
修道院に平和が戻り、現場を後にするアイリーンとバーク神父。フレンチーは農夫になりたいと言いますが、うなじの辺りには十字架の逆さの絵が描かれていました。
20年後
聖カルタ修道院で起きた事件から20年後。マサチューセッツ州ウェイクフィールド。
心霊研究家のエド・ウォーレンが大学で、悪魔に憑依された農夫のことをビデオに出しながら話しています。
その農夫はフレンチーであり、逆さ十字架も見られました。(死霊館 エンフィールド事件の場面に登場)
悪魔の行動は3段階。出没、攻撃、憑依の順番でエスカレートします。
映画『死霊館のシスター』疑問点を徹底解説
暗黒時代とは?
暗黒時代は、ヨーロッパの中世を示すのによく用いられる言葉。当時ゲルマン民族の侵入によって古代ローマは滅亡すると共に、文化がいったん消滅しています。それからルネサンスが始まると復興が始まるため、かなり大まかに言えば1000から1500年くらいの間が暗黒時代とされています。
なお、暗黒時代は戦乱・疫病・そのほか不安定な状態によって著しく乱れが生じしている期間を形容する言葉としても使用可能。会社が経済困難に陥った場合はその期間が暗黒時代と呼ばれることもあるほか、漫画などでも著しく人気がない期間には用いられることもありました。
ヴァラクとは?
ヴァラクはウォラクやヴォラクとも呼ばれる悪魔のなかの1人。悪魔召喚をした者の前に現れ、天使の翼を持つ少年のような姿をしながら2首のドラゴンに乗っています。
なお、映画『アナベル 死霊館』シリーズに登場するヴァラクの外見は修道女であって上記の姿ではないのがポイント。『死霊館 エンフィールド事件』に登場して一定の反応を集めたことからスピンオフ『死霊館のシスター』でメインヴィランとして登場しました。
本編では暗黒時代、とある公爵がヴァラクを悪魔召喚の儀式で呼び出します。それをキリストの血を使って封印していたものの、戦時中に建物が損傷したことで封印が破れヴァラクが復活。
修道女たちはなんとかしてヴァラクを建物から出さないように頑張っていたものの、結局最後は外に出てしまった様子。そして『死霊館 エンフィールド事件』に繋がります。
修道女はなぜ自殺した?
修道女(キリスト)は自殺が禁忌であり悪とされています。それにも関わらずオープニングの場面では修道女が自殺しているわけですが、その理由はなんでしょう。
答えは、悪魔ヴァラクによる体の乗っ取りを防ぐため。まず最初の場面では2人の修道女がどこかの廊下を探索。この2人の目的は悪魔を封じめることであり、キリストの血を持っていました。
ただ1人はやられて失敗。ヴァラクは体に憑依できるほか、修道院からの脱出を目論んでいたため、修道女はそうさせないように禁忌である自殺を選んだとのことです。
映画『死霊館のシスター』みんなが知らないトリビア
ナンバープレートがヴァラク
修道院に物資を運ぶ際、自殺した修道女を目撃したフレンチー。アイリーンたちと共に修道院を回ることになった彼ですが、とある場面で乗り物と一緒に映ります。
その乗り物についているナンバープレートをよく見てみると、「6-VA-01-LAK」と書かれています。このナンバープレートから数字とハイフンを除くと「VALAK」。つまり映画に登場するヴァラクのことを示しています。
アイリーンの戦略
悪魔ヴァラクを地獄に戻すため、キリストの血を口に含んで吹きかけるという戦略を取ったアイリーン。機転の利いた行動ですが、この戦略はほかの映画でも使われています。
その映画は、1995年に公開された映画『デーモンナイト』です。
幻覚の伏線
修道院に登場する修道女はみんな幻覚だったことはネタバレの通り。ただこの幻覚は本編の時点で伏線が貼られています。
それは、修道女アイリーンだけがほかの修道女と会話していること。アイリーンだけは幻覚を見ていて話しており、ほかの人は幻覚を見ていないことの暗示です。
1人だけこの理論から外れる修道女がいましたが、のちにヴァrクが操作していただけと判明。
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