ホラー映画のなかでもとりわけ人気の高い「イット」シリーズ。スティーブン・キング原作の作品を元にした映画で、ホラー映画としては最高の興収を残しました。
そんな映画「イット」シリーズで気になるのが、小説との違い・相違点。
今回は、映画と小説で異なる設定などを解説します。
目次
「イット」シリーズ映画小説の違い1.チュードの儀式のやり方
ペニーワイズ(イット)を倒すために重要な役割を持つものといえばチュードの儀式ですが、映画と小説では違いが見られました。
映画のほうでチュードの儀式を発見したのは、27年にわたりデリーでイットの研究をしてきたというマイク・ハンロン。彼は地元のアメリカ先住民が行っていたチュードの儀式というものを知り、ペニーワイズ(イット)の魂のようなものを壺に入れるという方法を見出します。
小説のほうで発見したのは、マイクではなくビルでした。ペニーワイズがどんな怪物なのかを探ろうとしたビルは、偶然にもチュードの儀式という倒す方法を見つけます。
またチュードの儀式でどのような結果が得られたのかも異なりました。
まず映画のほうで行われたチュードの儀式は、誘い込みまでは上手くいったものの結局失敗。そもそもアメリカ先住民は儀式を何度も行っては失敗してきており、その記録を壺に掘っています。しかし、マイクはその記録を消したうえで儀式を強行したため、ルーザーズクラブのメンバーから叩かれた様子がありました。
小説のほうでは、儀式は上手い具合に進んでいきます。ただビルは儀式でマクロバースに投げ出され、宇宙を作ったという大亀マチューリンに遭遇。それから大人になってもう一度儀式を行っています。
「イット」シリーズ映画小説の違い2.結末・終わり方
ペニーワイズ(イット)を倒してから本当に終わりを迎えるまでのエピローグは、映画と小説で結構な違いが見られました。
映画ではルーザーズクラブのメンバーが平和を取り戻したあと、それぞれの描写がされます。小説家のビルは新しい本を書き終わらせ、マイクは子供の頃からずっと住んでいたデリーを離れます。
ベンはベバリーと結ばれ、リッチーは亡くなったエディとイニシャルを並べて残していました。それからナレーションでは、ペニーワイズ(イット)と戦う前に亡くなったスタンの手紙のようなものが読まれます。
これらは映画のキレイにまとめるような形で描かれていましたが、小説版では見られません。
小説版では、戦いのあとに入院していたマイクが出来事についてまとめています。これはペニーワイズ(イット)との戦いを忘れないためのものでしたが、結局風化していくためみんなほとんど忘れてしまいます。
最後のほうはビルが家を飛び出して、自転車で駆けながら子供時代やルーザーズクラブと一緒だったときのことについて物思いにふけるような形で終わりです。
このように、映画と小説では終わり方が異なります。
「イット」シリーズ映画小説の違い3.スタンリーの死
ルーザーズクラブのメンバーだったものの、ペニーワイズ(イット)に対する恐怖のあまり自ら命を絶ってしまうスタンリー。スタンリーの死は小説・映画どちらとも結果的に同じですが、その描写は映画のほうがより鮮明です。
小説では、スタンリーはペニーワイズ(イット)に対する恐れやトラウマが強く、デリーに帰るなんて気持ちにはなれません。そして最終的には手首を切り、壁に「IT」という文字を書いてなくなりました。
対して映画はペニーワイズ(イット)への恐怖心などは同じではあるものの、死に至るまでのプロセスがより鮮明に描かれているため絶望が伝わってきます。
ルーザーズクラブのメンバーに手紙を書き残すのは映画版だけの設定で、全員揃ったところでどうにもならないから先に命を絶ってしまおうという感じでした。
「イット」シリーズ映画小説の違い4.ペニーワイズの真の姿と倒し方
ペニーワイズ(イット)はどんなものでも変身でき、最も有名なのは道化師の姿です。そして終盤になると地球上における真の姿として蜘蛛のような形に変わりますが、若干設定に違いが見られます。
小説の場合、最後に出てくるのは雌の蜘蛛です。ペニーワイズ(イット)は雌の蜘蛛のような姿で現れ、棲み家のそこらへんに卵を植え付けていました。
対して映画は、道化師の頭に蜘蛛やカニみたいな足を取ってつけたような姿。見た目でいうと映画版のほうがペニーワイズ(イット)らしさは残っているものの、卵はありません。
倒し方は、小説のほうは物理的に殴っていくような形。卵を破壊することで新たな生命を生まれないようにしつつ、ひたすら殴って核を破壊していきます。
映画の場合は、どちらかというと知能で勝ったような形。チュードの儀式の失敗で絶体絶命になったものの、ペニーワイズ(イット)に悪口雑言を浴びせることで追い詰めて小さくし、心臓を取り出して倒すというものでした。
「イット」シリーズ映画小説の違い5.ベバリーが見たルーザーズクラブの死に際
1作目でペニーワイズ(イット)に捕まったベバリーはルーザーズクラブのメンバーがどのように死ぬかをすでに見ており、スタンリーの死に方・死を予測していました。これに関しては映画の設定で、小説にはありません。
ちなみに小説版だと、ルーザーズクラブのメンバーはアメリカ先住民が行っていた煙を使って引き起こす幻覚は試しています。ただ成功はしていませんでした。
「イット」シリーズ映画小説の違い6.ビルの妻
ビルの妻オードラは、映画だと出演時間が短くなっています。小説版ではデリーに戻ったビルを追っていき、ペニーワイズ(イット)に襲われました。
ただビルは手に入れていた愛用の子供用自転車シルバーにオードラを乗せて全力疾走。なんとか助けることに成功しています。
映画では自転車で青春を感じるような走りっぷりは見せていますが、小説のような形ではありません。
「イット」シリーズ映画小説の違い7.ペニーワイズ亡きあとの天気
ペニーワイズ(イット)の死が周囲に及ぼす影響は、映画と小説で異なります。
まず小説では、ペニーワイズを倒したあとにデリーが嵐に襲われました。嵐はとても強く、町の大部分が消滅するほどの災害です。
対して映画では、ペニーワイズを倒したあとに天気が崩れて町が大荒れという描写はありません。
ちなみに嵐が起こる仕組みは考察されています。まずペニーワイズ(イット)はデリーという町を作った張本人で、失踪事件が多発しても住民たちが全然興味を示さないと仮定。
これはペニーワイズのマインドコントロールといった能力により引き起こされていると考えられます。そしてペニーワイズ(イット)はデリーの地下に棲み家を作り、町を思うように支えているとします。するとペニーワイズが亡くなった今、町を支えるものがなくなったという状態。
そうなると町を維持していたものがなくなったわけですから、デリーという町も同時に消失するでしょう。デリー自体がペニーワイズだったということで、嵐の原因は考察されていました。
「イット」シリーズ映画小説の違い8.エディの仕事
エディの仕事は小説と映画で異なります。
映画の場合は大人になって保険会社のリスクアナリストという仕事をしており、子供時代の経験からその仕事についたのかなと思えました。
ただ小説の場合はリスクアナリストではなく、運転のビジネスで成功を収めています。
「イット」シリーズ映画小説の違い9.ペニーワイズのルーザーズクラブに対する思い
ペニーワイズが大人になったルーザーズクラブと再び会い交える際の気持ちは、映画と小説で異なります。
まず小説の場合は、ペニーワイズは会いたいと思っていません。理由はシンプルにルーザーズクラブという子供たちに初めての敗北を期したためで、もう一度対決するのを避けたいと思っていたからです。
対して映画の場合は、ペニーワイズの思いが一転。儀式に失敗してルーザーズクラブの前に姿を現したペニーワイズは、遭遇するのを待ち望んでいたようなセリフを言っていました。
映画ではルーザーズクラブを宿敵ととらえていることがわかる描写であり、小説版と大きく異なる部分です。
「イット」シリーズ映画小説の違い10.エディの死に方
ルーザーズクラブのメンバーのなかで、唯一対決中に犠牲になるのがエディ。そんなエディは、映画と小説及びミニシリーズすべてで死に方が異なります。
まず小説では、吸入器を使って毒を盛ったあと、ペニーワイズに腕を噛まれます。エディはリッチーに抱かれつつ告白しながら死に至り、リッチーはペニーワイズに激怒するというものでした。
映画の場合は襲われているリッチーを救出して歓喜。喜んでいる間に不意をつかれてペニーワイズに胸を貫かれ、じわじわと失血で亡くなります。
ミニシリーズではペニーワイズに抱きかかえられるような形で死亡。外傷はなかったものの、なにか超能力的なもので死に至ったようです。
ちなみに映画と小説では、ペニーワイズが亡くなったあとに建物の倒壊などと合わせてエディを救出することなく脱出していました。対してミニシリーズだと、エディを運びながらみんなで脱出しています。
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