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映画『IT2イットTHE END/それが見えたら終わり』11個の疑問を解説!

2017年に公開されたリメイク版映画「イット」シリーズ。2019年には小説版までのシナリオを完結させる『IT2イットTHE END/それが見えたら終わり』が公開され、1作目と同じく大ヒットを記録しています。

主にピエロの姿をした怪物との戦いを描くこの映画は、1作目の主役が子供時代、2作目は大人になった姿で描かれているのが特徴的。

再び出現したペニーワイズを倒すため、舞台であるデリーに再びルーザーズクラブのメンバーが集結するところが魅力です。そんな映画『IT2イットTHE END/それが見えたら終わり』ですが、疑問に残った部分がありませんか?

今回は、映画『IT2イットTHE END/それが見えたら終わり』を見ているなかで生じる疑問点の解説・考察をしていきます。

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「イット2」疑問解説1.本編最初の犠牲者の意味とは?

映画の本編の開幕は、同性愛の男性カップルが犯罪に巻き込まれるところから始まります。カップルはどこかのイベントに参加していたものの、何やらガラの悪そうな人たちに目をつけられました。

カップルは離れたものの、悪い奴らが追跡して最終的にはデリーにある橋の上から落下させられます。それから川岸でカップルの一方が投げ込まれた男性を救助しようと模索。川のほうでは溺れそうな男性がペニーワイズに捕まれ、助けられると思いきやそのまま食べられる様子が見られました。

この場面は、ペニーワイズ(イット)が長い冬眠から目が覚めたことを強調するためのアプローチです。映画版はもちろん、原作のほうでも用意されていました。

またカップルを襲撃してきた人達は元々が悪いのか、ペニーワイズによって操られていたのかは不明。それでもマイクが現場に駆けつけてペニーワイズが復活した事実に気づき、ルーザーズクラブのメンバーを呼び戻すことにしたわけなので、導入部として使われたと解釈できます。

「イット2」疑問解説2.メグ・ライアンって誰?

同性愛のカップルの一方であるエイドリアンが襲われているときには、メグ・ライアンという名前が出てきます。「メグ・ライアンから電話があった。髪を切って欲しがってる」みたいな感じのセリフを吐きながら殴られていたのが印象的ですが、そもそも誰ですか?と思う方もいるかもしれません。

メグ・ライアンは、1961年にアメリカで生まれた有名な女優。映画『トップガン』に出演したほか、数々の作品に登場しています。

そんなメグ・ライアンがなぜ言及されていたのかは不明。そのあとにもリッチーが廃墟の映画館に行った際はメグ・ライアンが出演した1999年映画『You’ve Got Mail』のポスターが見られたので、意図的に名前を出していたのは確かです。

映画本編にはオマージュ要素がちりばめられているものの、大抵はホラー映画やスティーブン・キングに繋がりのあるものばかりでした。そこになぜかメグ・ライアンの名前が出てきたというのはよくわからず、単純にキャラクターの趣味の問題かと思われます。

整形で顔が激変しているのが割と話題になるので、その面でジョークとして出した可能性。

「イット2」疑問解説3.大人になったルーザーズクラブはなぜ子供時代のことを忘れていたのか?

ルーザーズクラブのメンバーはデリーを離れて大人になると、小説家やスタンドアップコメディアン、建築家といった職業で大抵が勝ち組の人生を送っていました。

そんなルーザーズクラブのメンバーはマイクから電話がかかってきたときに最初誰かを理解できず、デリーに集められてから徐々にペニーワイズの件を思い出し始めます。

ペニーワイズ(イット)との戦いは明らかにトラウマレベルで記憶に残るはずの出来事なのに、なぜ大人になって忘れていたのか。結論からいうと、大体はペニーワイズが持つ能力に起因すると考えられます。

ペニーワイズはマインドコントロールを含むいくつかの精神面に干渉できる能力を持っていて、人々を無関心にさせることが可能。それゆえにデリーで何度も失踪事件が起きているのに大人たちは無関心で、特に外部からの捜査もありません。

このようにペニーワイズはルーザーズクラブのメンバーの精神に干渉し、物事を忘れさせていたのだと思います。ちなみにペニーワイズが干渉できる範囲はデリーの町限定。

マイクは27年にわたりデリーの町に残ってペニーワイズについて調査していましたが、町を出ると記憶がなくなると知っていたからこその行動ではないか、と考えたら説明がつきます。結末でもペニーワイズを倒したあと、マイクは遂にデリーを出る覚悟を決めていますから、やはりそういうことです。

全員がデリーから離れていたら、ルーザーズクラブのメンバーはすべてを忘れたままでペニーワイズは今後も子供を襲い続けていたでしょう。

「イット2」疑問解説4.デッドライト?ペニーワイズの正体とは?

映画に登場したデッドライトは、ペニーワイズの真の姿ともいえるもの。チュードの儀式によってデッドライトを閉じ込めて封印することが、ペニーワイズに対する勝利条件でした。

ただ真の姿とは言いますが、これは概念上のものです。ペニーワイズは億単位で昔から存在していて、スティーブン・キングの小説「ダークタワー」シリーズで生まれたマクロバースと呼ばれる世界の住人です。

マクロバースは地球どころか宇宙を包括するほどの概念で、ペニーワイズと並んでほかの住人としてはマチューリンやガンが存在しました。

わかりにくい部分ですが、
・デッドライト=マクロバースにおけるペニーワイズの真の姿
・ペニーワイズ(ピエロ)=デリーで人前で行動する際の正装の姿
・蜘蛛=デッドライトを体に入れつつ地球上の真の姿
・そのほか=恐怖心を植え付けるために色々変身した姿
といった感じです。

「イット2」疑問解説5.ペニーワイズはなぜ大人をターゲットにしたのか?

冒頭に出てきた同性愛のカップルを含め、ペニーワイズは子供だけでなく大人もターゲットにしています。基本的に子供を食べるのが目的にも関わらずなぜ大人をターゲットにしたのか、そこには大して意味がありません。

映画だけを見ていると子供を襲うというイメージですが、実は小説などを見てみると普通に大人も襲っていました。ときには爆発事故で100人以上の命を奪ったり、バーのような場所で人間を操作して襲わさせたりしたこともあります。

ペニーワイズにとって恐怖を与えて食べる子供が食事であり、それ以外の殺生はただの遊びと思われます。

「イット2」疑問解説6.ペニーワイズはどうやって生きていたのか?

基本的にペニーワイズは約27年の周期で出現して、子供を食べたり食事として用意しては長い睡眠に入るという生活をしています。また十分な食事を取れなくても傷を受けたときは回復するために睡眠を始めることがあり、映画1作目ではルーザーズクラブにやられて強引に睡眠へ移行しました。

ただ十分な食事を取らなければ餓死する可能性もあり、ルーザーズクラブにやられて以来27年もの間どう生き抜いたのかは謎。その点は、蓄えがあったのだと解釈しています。映画1作目ではたくさんの子供たちが備蓄されている様子が見られたので、そういうことでしょう。

ちなみに人間ばかり食べているペニーワイズですが、歴史でみると億単位で生存。地球に来たのは百万年単位前のことで、デリーで人間を襲うようになったのは数百年程度です。

そう考えるとこれまで人間以外に何を食べていたのかは謎であり、たった27年なら餓死しないんじゃないかとも思えます。ちなみに一説として、惑星を転々としては資源を枯渇するまで食い荒らしているという話もあります。今は地球ですが、食べつくしたらまたどこか別の惑星を探しに行くのかもしれません。

最もスティーブン・キングの小説ではペニーワイズが死んで以降のストーリーはなく、本人も書く気はない様子。

「イット2」疑問解説7.ペニーワイズはなぜヘンリーを助けたのか?

ヘンリーはルーザーズクラブを子供時代にいじめていたキャラクター。のちに父親を殺めた罪をきせられ、精神的に狂って精神病院に収容されていました。ペニーワイズはそんなヘンリーを助けるよう仕向けていますが、これはリスクヘッジのようなものです。

ペニーワイズはルーザーズクラブを抹殺したいと考えていますが、子供時代に負けていたため確実に倒せると思っていません。そこでリスクを分散するために第一陣としてヘンリーを裏で操り、ルーザーズクラブを代わりに倒させようとしていました。

ちなみにペニーワイズがここまでする理由は、弱点が「相手の精神の強さ」のため。相手が怖がらなければペニーワイズは基本的に無力なので、人間を使って物理的に排除したほうが簡単です。

最終的にペニーワイズがどのように負けたのかを見ていれば、彼がルーザーズクラブを恐れヘンリーを操ろうと思ったこともなんとなくわかります。

「イット2」疑問解説8.ベバリーはなぜスタンリーなどの死を知っていたのか?

大人になったルーザーズクラブはデリーに集まってきたものの、スンタリーだけはすでに命を絶っていたため来ませんでした。ただ、このことをベバリーだけはすでに知っています。

結論からいうと、ベバリーはスタンリーを含むルーザーズクラブのメンバーの死をかなり前から見ていた様子。夢のなかなのか、ペニーワイズに魂を抜かれているときなのか、そのときに見ていたようです。

「イット2」疑問解説9.スタンリーとビルの関係は?

エディの死や思い出の品を集めてるときにわかったのが、エディとリッチーが同性愛で両想いだったという事実。その裏に隠れているもう1つの関係が、スタンリーとビルです。

スタンリーが命を絶ったという事実が明かされると、何やら回想が始まりました。その回想ではスタンリーとビルが見つめ合い、唇の動きに注目されます。それからスタンリーが自殺するとき、ビルに何か囁いていました。

回想ではこのような映像が見られたわけですが、もしかしたらエディ&リッチー同様この2人も恋をしていたのかもしれません。もっとも2人とも既婚ではありましたが。

「イット2」疑問解説10.R+Eとは?

リッチーとエディが両想いまたは思いを受け入れることの暗示を示しているのが「R+E」です。もともとエディのイニシャルだったEだけが彫られていましたが、エディが死ぬ前に告白の言葉を述べたことで、リッチーは死後にRを足したものと考えられます。

ちなみに小説版だと、エディは死ぬ前に何も言いません。映画ではより鮮明にとらえられるようにするため、恋の言葉をエディが言っていました。

「イット2」疑問解説11.チュードの儀式とは?

チュードの儀式は、ペニーワイズ(イット)を倒す唯一の方法として知られるもの。小説ではマクロバースに飛ばされたビルがそこにいた大亀マチューリンによって教わったもので、子供・大人の2回に分けて実行する事でペニーワイズを倒すことに成功します。

大して映画の場合は、なにやら設定が異なった様子。

映画のチュードの儀式はアメリカの先住民がペニーワイズ(イット)を倒すために何度もやっていたもので、ことごとく失敗していた様子。マイクは27年にわたり調べるなかでその儀式を知り、デッドライトを壺に閉じ込めることで勝利できると知りました。

なおチュードの儀式の映画版では、結局ペニーワイズ(イット)は倒せていません。そもそもチュードの儀式には思い出の品だけでなく命なども必要で、壺には失敗の履歴が残っていたもののマイクはそれを消してルーザーズクラブをだます形で実行に移しました。

このようにペニーワイズ(イット)を倒すための方法としては一致していますが、結果ややり方、見つけた人などが異なっているようです。